シン・ゴジラ 過去作全部観た私の感想

公開日: 2016年8月16日火曜日 映画感想 雑記

ようやくシン・ゴジラを観ました。
あやうく「ゴジラ ファイナルウォーズは劇場で2回観たのにシンゴジラ観てない人」になるとこでした。あぶなかった。




もう私なんぞが語るまでもなく各所で話題ですが本当に、ヒくほど面白かったです。


怪獣映画は好きだけど、大半の怪獣映画は「まぁ、映画としての出来はよくないよなぁ」と感じている私でも本当に満足できる内容でした。

ゴジラに興味のない人、ゴジラを観たことない人にこそ観て欲しいです。



以下ネタバレ有りの感想。
観てない人は絶対読まずに観てほしいです。

あとワシはゴジラを冠する映画31作品全部観てる程度には怪獣映画が好き人なのでクラスタ外にはわかんないような単語も出てくるかもだけど許してクレセントノイズ。












\ ( ‘ω’ )/ 
  \  \ 
   \ γ∩ミ 
     ⊂:: ::⊃)) 
   /乂∪彡\ 

お客様!お客様!! 
困ります!!あーっ!!! 
お客様!!困ります!!あーっ!!!困ります!! 

あーっ!!!!困ります!お客様!!困ります!!あーっ!!!あーっお客様!!

















■まず衝撃的だったのはやはり初上陸シーン。



「海から上陸した未知の巨大生物が東京を破壊する」


初代ゴジラのこの映像は1954年当時はそりゃもう衝撃的だったと聞いてます。

燃え盛る街、逃げまわる人々。不気味な巨大生物が家を踏み潰し街を破壊するという観たこともない映像。―街が破壊され、燃え、人々が逃げ惑う様が直近に起きた『現実』だった当時の人達にはなおさらだったでしょう。


なんだこの不気味な生き物は。こいつは何者なんだ。



…しかし2016年、現代ではこれはもうゴジラの定番シーン。

ゴジラは『未知の巨大生物』ではなく誰もが知る怪獣王であり、ゴジラが海から来て街を壊しても「ウワー海からあがってきた不気味な巨大生物が街を壊してる怖いウワーコイツはなんなんだ!?」ってなる人は2016年にはまずいない。…いないよね?

ところが。ところがですよ奥さん。シン・ゴジラではゴジラが上陸して街を破壊するシーンが非常に衝撃的なんですよ。これ、本当すごい。ヤバイ。


ゴジラが上陸するシーン、『ゴジラ』を知らないからこそ1954年当時の人々は驚いた。
シン・ゴジラでは我々は『ゴジラを知っている』からこそ驚く。
コレ本当めちゃくちゃ上手かった。ヤバイ。





ゴジラ上陸!!!!



…なんじゃこりゃ。


おれたちの知ってるゴジラとちがう。
よくわからない不気味な巨大生物が街を破壊しているという映像。
「ゴジラを知っている」からこそ、「ゴジラが出てくると思っている」からこそ、このゴジラの面影を残しつつもまったく異なる生物を異質だと感じてゾッとする。上手い。



なんだこの不気味な生き物は。こいつは何者なんだ。



押し流され川を逆流する船。なぎ倒された街。スマホを向ける人々。まともに機能しない政府。大災害が起きたにも関わらず遠くの地域ではいつもと変わらない日常。
―直近に起きた「現実」を想起せざるを得ない映像。


1954年当時にゴジラを初めて観た人はこんな感覚だったのかもしれない。




…最初は「うーん…頑張ってるけどやっぱCG微妙だな―」「なんか登場人物みんな早口じゃね?」とか思ってましたが上陸シーンで一気に惹きこまれました。

ゴジラ2014のMUTO初出現シーンの「ゴジラ?なにこれ??ゴジラ????」→「新怪獣だ!!」ってミスリードも上手かったんですがあれを更に、めちゃくちゃ昇華させた感じでしょうか。




さらに『放射火炎で街を焼き払うゴジラ』。

こちらももはや誰もが知ってるゴジラの基本的な情報だし何度も観た光景ですがこちらも「知っているからこそ驚く」っていうのを非常に巧みに使ってますね。


放射火炎はゴジラ2014でもかなり効果的に使われてましたが…向こうが「うぉおおかっけぇぇえええ!!」だったのに対してこちらはものすごい絶望感を感じました。



■前半は特に徹底してリアルに(見えるように)描かれてるのがまた非常に萌えます。本当こういう怪獣映画が観たかった。

平成ガメラも怪獣の捕獲を議論したり「相手が攻撃してこなければ自衛隊は攻撃できない」とかギャオスの影響で羽田空港や証券取引所が閉鎖されている旨のニュースが流れるといったリアリティの追求がされていて衝撃を受けた…というかアレで「子供向け」だと思ってた怪獣映画にハマったとこのある私なのですが。
(弟が子供の頃、怪獣好きで私はまったく興味なかったのですがガメラのせいで完全に、大人になっても怪獣オタクにされました…。)



あれ以上に徹底したリアリティで描かれていて『現実世界に出現した非現実』萌えの私にはたまりませんでした。
「日本に本当にゴジラが出現したらまぁ、こうなるよねぇ…」という政治屋さんの対応とか巨災の小物とか本当に素晴らしかったです。


徹底的にリアリティを重視しているからこそ、街が破壊されたり燃えるシーンに先述したような絶望感を感じるんですかね…。

後半は逆に一気に世界が狭くなって「好きにやって」ますね。
この切替も上手いと思います。



■『今の日本だからこそ作れるゴジラ』を強く意識されてるのもいいですね。


立ち上がれ日本、というカンジで…なんか陳腐なフレーズになったけど。いいですね。意外にも非常に前向きなプロットです。

っていうか原爆や戦争を擬獣化しその恐怖を描きながらも、兵器で産まれてしまった命を人間の都合でより強力な兵器で葬る・という『人間は兵器や戦争、それらによる悲劇を産み続ける事を完全に止める術を持たない』というプロットが初代ゴジラなわけで。

初代を意識してんのはもう最初に発表された時からわかってたし、わたしゃ庵野くんのことだから絶対めっちゃ暗いテーマでくると思ってたわけですよ。絶対超兵器R1号みたいなやつだと思ってたわけですよ。そこで『進化し続ける完全な個体(ゴジラ)を、不完全な群体(日本、人類)が団結することで進歩し乗り越える』とかいうポジティブな内容だったのはちょっと驚きました。
半減期が短いよっしゃ復興できるよバンザイとかいうご都合的なアレはちょっとやりすぎかなーとは思ったけど(アレなくてもゴジラが人類にとって福音にも成りうることは十分示唆されてた気がするし)…。

「二度も原爆を落とされたこの国に、また核を落とさせるのか」なんてのは日本人なら誰もがかなり胸の痛い内容ですよね。

海外でも立ち位置やうんぬん含め、今の日本人にこそみてほしい映画です。



■さらに伊福部氏のBGMの使い方がめちゃくちゃ上手い。

まず最初にかかるのは『ゴジラ再上陸』。第三形態になる時にこのBGMを使うことでこの生き物がゴジラであることを示唆しています。初代を観たことがない人でもゴジラのテーマのモチーフが入っているこのBGMを使うことで「ああ、こいつがゴジラになるんだ」とわかるのではないでしょうか。

第四形態上陸時に『ゴジラ復活す』を使ってるのもまたニクい。
タイトル知ってるとここ本当涙でます。いつもの姿のゴジラが、いつものBGMで海から上陸してくる。
一時は本当に二度と観ることができないと思った光景。俺達の怪獣王が復活したんだ。
嫌でもテンションあがるよここ。


次に畳みかけるように『ゴジラ登場』。誰もが知るゴジラのテーマ。
ここのゴジラの正面をとらえた映像の絶望感本当凄いです。


そして、無人在来線爆弾突撃時にはまさかの『宇宙大戦争マーチ』。
宇宙大戦争マーチめちゃくちゃ効果的に使われてますよね…。クソカッコよかったです。

メカゴジラやメーサー殺獣光線車といった超兵器ではなく、戦車や戦闘ヘリではなく、電車・重機・ビル。「働く日本人」の象徴で虚構の怪獣王ゴジラに立ち向かう。
『現実対虚構。』というキャッチコピーを素晴らしく視覚的に表現しているシーンにぴったりな曲です。


最後にクレジット。

あの衝撃のラストから最初にかかるのは『ゴジラ・タイトル』。
大怪獣総攻撃ではクレジットで初めてこのBGMが流れてめちゃくちゃ痺れましたが、やっぱいいですねこの曲。そういえばクレジットで席を離れる客、個人的には信じれないんですがどの映画でも結構いますよね。この映画では一人もいませんでした。すげぇ。いや私はもう呆然としてて立てなかったですが。

次に『三大怪獣地球最大の決戦』。この曲好きなので使われててとてもうれしかったです。(こなみ)
二代目ラドンのテーマが入ってくるのがめっちゃかっこいいんですね…。

そして『怪獣大戦争』。勘違いしてる人多いけどヤシオリ作戦時に使用されてた『宇宙大戦争マーチ』じゃないよ、微妙に違うよ。

締めを飾るのは『ゴジラVSメカゴジラ』。人類がはじめてゴジラに対抗できるメカ兵器を作り上げた映画のテーマを自衛隊がクレジットする瞬間に使ってくる演出。カッコよかったです。



■映画終わったあとに隣で観てた男性三人組が「"信じられません!まったく、信じられません!!"ってとこでもう泣いたわ」「どこやw」「なんでやw」みたいな会話をしてるのを聞いて心の中でわかるボタンを押しまくりました。※最初のゴジラの尾が映ってるとこのマスコミの報道シーンのセリフ。初代ゴジラのオマージュです。


■最後に。かなり改変されているゴジラ像ですが私は全然ありです。「往年の、昔からのゴジラファンはみんなシン・ゴジラはつまらないと思ってるはず!!」とかいう過激な感想もみかけましたが、わしゃ全部観てるけど全然ありです。


色んなクリエイターがもっと自由に色んなゴジラ像を作ってたらゴジラはこんな衰退しなかったと思うんですよね。


シン・ゴジラからゴジラを知った人はご存じないかもですが、特撮クラスタには「延々と昔のものを昔のままやっててくれたほうが嬉しい」という人がわりといて(CG使っただけで叩かれるレベルの旧態依然ぶり)、ゴジラも閉鎖的に同じもの作り続けて衰退してしまうという血を吐きながら続ける悲しいマラソンを毎回やってるんですね…。だからシンゴジはゴジラじゃないっていう旧作ファンの声はできるだけ無視してあげてください…お願いします…。


そらシンゴジから入った人が過去作観て「この特撮すげぇええ」「きぐるみ怪獣プロレス面白い!!」ってなってくれれば私としても一番嬉しいけどまぁ難しいだろうし、今度やるハリウッド版とか、新しいゴジラを観て「うわCGすげぇえええ」「これからもゴジラ観よう」ってなってくれればワシゃ充分嬉しいです。




庵野さん本当にありがとう。クレジットで何回も名前が出てくるぐらい本気で、こんなにおもしろい映画を創ってくれて、感謝しかないです。ギャレスさんやウルトラマンXの田口清隆さんもそうだけど、子供騙しや時代遅れの怪獣作品ではない、本当に面白い作品を創ってくれて本当感謝してます。


一時は本当に切望的でしたがようやく我々は次の世代にゴジラ、怪獣という文化を残せそうです。
怪獣映画ハズレばっかだけど面白いのは本当面白いのでみんなも観てみてね。


あ、ちなみに旧作を観るなら私のオススメは初代とGMK(ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃)と機龍二部作(ゴジラ×メカゴジラ(2002)と東京SOS)とゴジラ2014(ハリウッド版)です。

他の怪獣映画なら平成ガメラ三部作とクローバーフィールド/HAKAISHA、パシフィック・リムなんかもいいぞ。







■総評■
シン・ゴジラはいいぞ。











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