劇場版ポケットモンスター キミにきめた! 感想と考察

公開日: 2017年7月18日火曜日 ポケモン 映画感想 雑記


観てきました。劇場版ポケットモンスター キミにきめた!

ポケモン映画は一応全作観てますが、劇場で観るのはミュウツーの逆襲以来、20年ぶりです。20周年だしね。記念記念。公開前は色々言われてましたが公開後は観た人からの評価は結構高いですね。実際面白かったです。

以下さらっとネタバレのない感想。

公開前は特に改変について叩かれてましたがゼロから始めた事によって、バトルってなんだろう?ポケモンマスターってなんだろう?自分にとって『ポケモン』ってなんだろう? って事に対してひとつひとつサトシが向き合って答えを出していく構成が良いし、最後の質問は中盤で観客にも投げかけられてるのが最高に秀逸です。あと一番ポケモンの原点である「少年時代のひと夏の冒険」っぽい。また、リブートされた物語ですが別に20年前のファンをないがしろにしてるって事は全然ないです。むしろ好きな人、好きだった人に向けた要素もたくさんあります。

色々気になる点はあるものの、まったく知らない人がみても20年追いかけてきた人が見ても楽しめる、大量の要素を綺麗にまとめた良作なので未見の方はとりあえず一回観てください。



これより下はネタバレ有りの感想です。注意。
※セリフや展開はうろ覚え、感想・考察は個人的な意見です。



































時系列を並べて感想書きたいところですが文章書くのヘタクソな私がそれやると大長編小説みたいになるのでこの映画で私が特に良いと思った点、3つについて主に書いていきたいと思います。


1、異常な詰め込み具合の割にものすごく綺麗にまとまっている。

観る前は正直、2時間でピカチュウと仲良くなってホウオウからにじいろのはねを貰ってロケット団と戦ってキャタピー捕まえてバタフリーに進化してマコトと出会ってソウジと出会ってそれぞれのエピソード描いてヒトカゲ捕まえてリザードに進化してジム戦やってバイバイバタフリーしてライバルと戦って負けて挫けて謎のポケモンマーシャドーが、とか正気か????と思いましたが、本当にビックリするほど綺麗にまとまってますよね。もちろんどうしても駆け足気味なカンジは否めないものの、詰まってる要素の量を考えれば全然綺麗だと思います。

思った以上にさらっとサトシとピカチュウの出会いと仲良くなるまでを描いてる序盤に始まり、マコトやソウジもしっかりとバックボーンが描かれちゃんとそれぞれに活躍の場があり魅力的なキャラクターになっています。マコトもソウジもかわいい…マコトもソウジもかわいくない?
 特にマコトは顔とかも杉森デザインに近くて好きです。髪下ろすとまたかわいい。まぁ一番かわいいのはセレナちゃんなのは確定的に明らかですけどね?

更にこの詰め込み具合でクロスをただの悪いやつとかラストでポケモンの事を友達として見るようになる・みたいな単純なキャラにしなかったのは本当に凄いと思います。
サトシは全否定するものの作品としては「強さを求める者同士なガオガエンとクロスの関係もまたポケモンと人のあり方」として理解を示す描き方もされていたのがよかった。「初めて会った時も、こんな風に噛み付いてきたよな」とかやめろ泣く。


先にソウジがヒトカゲに適切な処置ができる場面を見せておいてレントラーを失った過去を見せるとか、キャラのバックボーンを観客に想像で補完させるのが上手いですよね。これによって短い尺の中でもキャラを魅力的に見せてます。ああ~そういうことがあったからこそ、今のこの子が形成されたんだろうな~と考えやすい。なんかもう感想書くだけでもこんなに詰め込んでるのになんであんな綺麗に消化できるんだと脚本家さんの手腕に唸るばかりです。



2、ポケモンが大好きな(大好きだった)キミも忘れてないよ

まぁポケモンは今の子供向けアニメの劇場版映画です。新しく入ってきた子供たちにはどれだけ改変されてようがカスミとタケシがいなかろうが関係ありません。しかし、では、この映画は子供の頃ポケモンが好きだった人達、今もポケモンが好きな大人たちをないがしろにしているかと問われれば全然そんなことはありません。(大事なことなので2回言いました)

例えば序盤、ピカチュウがサトシの肩を飛び抜けオニスズメの群れに向かって飛ぶシーン。ここ、原作にあった「サトシがピカチュウを目で追うカット」がありません。

↑これね。

私は「あーここ変えたんだ」ぐらいに思ってたんですが、ラスト、もう一度サトシを守るためにピカチュウが飛び出すシーンでは原作のようにサトシがピカチュウを目で追っているカットが入ります。これ本当やられました。初代アニポケが好きな人だけが気づく伏線と回収をしてくれたわけですよ。素晴らしいサービスです。

こういう、好きな人への細かいサービスがいっぱいあるの嬉しかったです。冒頭のバナードとクスクスに始まり、ふんだんに使われる初代~XYまでの各世代のBGMや野生にはカントーのポケモンしかいないとか、ディグダディグダ♪とかピカチュウのモノマネとか「怒らないでよオコリザル!」とか。

エンディングはその最たるものですね。今までの旅の仲間達。なかったことになんかしていない。キミたちのこともちゃんと忘れてないよっていうメッセージ。(どうせならアローラ組も描いてほしかったけど…。)

当初は私もタケシとカスミいないのかよとは思ったものの、まぁ彼らがいると単なる焼き増し感が増してしまうし、それだと懐かしいから面白いっていうつまらない構図(懐かしくない世代には面白くないとも言える)ができてしまいますからね…。あと年長者でジムリーダーなふたりではなく、サトシと同世代の駆け出しトレーナーなふたりのがポケモンらしい、ひと夏の冒険感あってよかったので最終的には正解だったと思います。「よっしゃ!夏休みにちょっとホウオウに会いに行くか!」みたいなね。

まぁ特撮やポケモンが好きな私は子供の頃・若い頃に好きだったもの存在したもの以外は全部クソ!!絶対認めない!!!っていう人を腐るほど見てきたので観もせず叩いてる人に文句は言わないけど、これから昔のキミたちと同じようにずかんをもらってポケモンと一緒に冒険する新しい世代にそういう事言うのはやめてね。


3、『ポケモンが存在しない世界』

中盤サトシがマーシャドーの力?でみる「ポケモンがいない世界」という夢。ポケモンクラスタ内でも話題のシーンですが、私もあそこがこの映画で一番面白いと感じました。アレよくわからなかったって人もわりといるみたいですが。


自分にとって『ポケモン』ってなんだろう? ってのはこの映画のひとつのテーマだと思うのですが、この問いかけをされているのは当然基本的には主人公のサトシであり、物語の登場人物です。しかしあの夢の中のシーンだけはサトシだけでなく、観ている我々にも問いかけられているのですよね。


―もし、『ポケモン』が存在しなかったら?


1996年、発売日にポケットモンスター赤を買い、毎日家に帰ればゼニガメと冒険し、ミュウの真偽を追いかけ、(特にアニメが始まってからは)過言ではなく学校中でポケモンの話ばかりしていた世代の私からすると、ポケモンは現実にはいないけど『あの頃確かに自分たちの隣に存在していたもの』です。そんな私にとってはあの「ポケモンが存在しない世界」はものすごく刺さりまくったシーンでした。もしなにかが少しでも違ったらポケモンが存在しない世界もあり得たわけですが、少なくとも私はポケモンが存在しない子供時代なんてまったく想像がつきません。(20年前はそのぐらいポケモンが子供たちの生活の中心にあったんです)

『キミはもう現実にはポケモンはいないことも、あの町の向こうにもあの山の向こうにもなにも変わらない景色が広がっているだけだということも知っている。でも、あの頃たしかにキミの隣にはポケモンがいたし、一緒に冒険をしただろう?』とノスタルジーと20年の歴史で殴り殺されてるような感覚。他の映画では味わえませんこれ。途中で追うのをやめた人とかもっと刺さるのでは。

サトシの物語を観ていた我々は一度、もしポケモンが存在しなかったら?という問いかけから自分とポケモンとの思い出を振り返る。そして、もう一度サトシの物語へと戻されるのです。これはサトシとポケモンの物語。だけど、君にもかつて、キミとポケモンの物語があった。この映画全体は焼き直し、懐かしいから面白い・などというつまらない物語ではありません。でも、このシーンは我々のような人間にはあの頃の自分を想起させ『一度も観たことのない新規シーンなのに懐かしい』というものすごいことをやってのけてるのです。これ本当に凄いことです。

この映画の予告のひとつに『あの時のポケモンに会いに行こう』というキャッチコピーがあるのですが、まさにこれ。この映画は真の意味で『あの時のポケモン』に会える映画なんです。



…もうちょいマニアックな感想を書かせていただくと最初にサトシの部屋のヒトカゲ、ゼニガメ、フシギダネのポスターが「現実」になってるカット観た瞬間に(え?…え!?首藤版最終回みたいなのやる気か!?いやいやいやあくまで子供向けアニメの劇場版だよ!?そんな事やらんやろ!?)と思ったけどわりとガッツリやりましたね…。最終回というよりはティラノサウルスの化石だしもちろん今のポケモンというコンテンツの現状を踏まえた上で、かつ、マイルドにはしてあるものの。

※今は亡き初代の脚本・シリーズ構成の首藤剛志さん。無印アニポケの基礎をだいたい作った人と思って頂ければ。彼のシリーズ全体や本来考えていた最終回の構想、ティラノサウルスの化石とかはググってください。

最終的にピカチュウの幻影を探すのをやめてサトシが「この世界で生きていこう!」とか言い出したら首藤版最終回でしたがさすがにそれはなかったですね。というか、(首藤さんご自身も語られていますが)もうあのプロットは現実のポケモンに即していない。このブログの最後にもうちょっと触れますが今やポケモンは我々の過去にだけ存在する懐かしい思い出、遺物ではありません。「むかしのこども」から「いまのこども」に受け継がれていく宝物です。そんな、首藤さんへのリスペクトと現代のポケモンという文化を踏まえた上で首藤版最終回とのある種の決別を同時に描いているような秀逸なシーンでした。


オーキド校長のもとでキクコが働いてるのは「ポケモンがいない世界だからこそ確執も起きなかったのでは」という考察を見てなるほどな~~~と思いました。私はポケモンがいたからこそ沢山の友人を作りましたがポケモンがいないからこそ生まれる絆もあったかもなのですよね。



その他諸々

■今回のサトシは自分にとってポケモンバトルとはなにかという事に回答を出してるけどこの回答、10歳の少年がだした答えらしくてすごく好きです。

■サン&ムーンサトシは元気で幼く見えるけどちゃんと色んな経験をしてるし優秀なトレーナーであるのに対して映画のサトシはまだまだ精神面に未熟でトレーナーとしても頼りないのがちゃんと(演技だけで)わかるレベルで演じ分けができてるの、本当声優さんってめちゃくちゃすごいと思いました。


■喋ったのけっこうなタブーだけど私はあまり驚きませんでした。まぁ実際に喋ってはおらずサトシと通じ合っただけなの普通にわかるしね。帽子を抱きしめて泣くところもですが本当大谷さんの演技力、表現力には毎回驚かされます。演技だけで泣けてしまう。


■マーシャドーが完全に話をすすめるのに都合の良い事だけをするギミックになっててるのがちょっと…。なにがしたいのか終始よくわからない。今作の脚本家である米村さん、あるいは首藤さんの化身のようにすら感じます(まぁそういうアレとしてみればそれはそれで面白いですけど笑)ただこの子がそうなることによってゴチャゴチャした話をまとめられてるのは本当よくわかるのでここは否定しにくいやつですが…。あと声すごかった。声優さんすげぇって何回も思わされる映画ですね。声優さん以外も…まぁ…いやマコトちゃんだけもうちょっと…


■ラストにサトシがヘラクロスゲットしようとしてるの良いですよね…。(金銀編で最初につかまえたポケモン)まだまだこっちのサトシの冒険も続いていくんだなぁ…ってカンジです。エンディングのキャラクター達はこのサトシのその後の出会いっていう考察もあるようで。確かに、ジムを変なまわり方してるのでそういう可能性もありますよね。


最後に

いつもは冒頭に入る「ポケットモンスター、縮めてポケモン」がエンディング前に入るのが本当に秀逸。ここが一番テンションあがったかもしれません。今作はほぼ初代のポケモンしか出てこないので画面が寂しいんですが最後に一気にポケモンたちが増えていき、ポケモンの世界が広がっていく感じが最高でした。あの頃の自分。キミの大好きなポケモンの世界は20年でこんなに広がったよ。アラモスタウンとかも写るの良いよね…。


物語終盤のサトシが消滅するシーンでサトシが迷い込む世界も中盤の『ポケモンが存在しない世界』と同じ、灰色の世界です。でもピカチュウに呼ばれて戻っていく。このシーン、ちょっと深く読むとキミたちもいつでもポケモンの世界へ帰ることができるんだよって言われてる気がしました。だって、このエンディング前に描かれているシーンのように、今もポケモンの世界は続いている。広がっている。

ポケモンは我々が子供の頃にだけ存在した過ぎ去った過去の思い出、遺物ではない。この現実世界でも、世界中にポケモンと共に過ごした人がいる。誰もがポケモンを知っている。『ポケモンが存在しない世界』なんてもうこの世界には存在しない。そして新作のポケモンゲームが出るたびに、どれだけ歳を重ねても私たちはあの頃のように見たこともないポケモンに出会えるし見たこともない場所を冒険できる。私達はまだまだ何度でも「ポケットモンスターの せかいへようこそ!」を聞くことができるのです。



















革新やタブーに挑みながら懐かしくも新しい物語を全世代に向けて描くという無茶ぶりを見事にやりきった20週年にふさわしい映画でした。名作と怪作のいいカンジのフュージョンですね。この作品を作ってくださったすべての方々に感謝です。
レイトショーで観たので前売り券が残ってるのでもう一回キミにキメます。なんならもう1回キメます。


私の人生の隣にポケモン達がいてくれて、本当に良かったです。









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